直腸脱(ちょくちょうだつ)とは?
原因・症状・治療法を赤羽の専門医が解説
監修:赤羽胃腸肛門クリニック 院長 葛岡 健太郎
直腸脱ってどんな病気?
直腸脱とは、直腸(肛門のすぐ奥にある腸)が、肛門の外に裏返しになって飛び出してくる病気です。
飛び出し方によって、大きく次のように分けられます。
-
完全直腸脱……直腸の壁が全部、肛門の外に出てくるタイプ
-
不完全直腸脱(粘膜脱)……腸の内側の粘膜だけが出てくるタイプ
-
不顕性直腸脱……腸が下がってはいるが、肛門の外までは出てこないタイプ
「いぼ痔(脱肛)」と似て見えますが、別の病気です。脱肛は粘膜が放射状に出るのに対し、直腸脱は腸が輪っか状(同心円状)に出てくるという違いがあります。
どんな人に多いの?
直腸脱は、小さなお子さんと高齢者の両方に多いという特徴があります。
特に多いのが高齢の女性です。中高年では女性が男性の6〜9倍多く、年齢のピークは60〜70代です。出産や加齢によって、骨盤の底を支える筋肉(骨盤底筋)がゆるむことが関係しています。
どんな症状が出るの?
直腸脱では、腸の脱出だけでなく、さまざまな症状が現れます。
-
肛門から腸が出てくる……最初は排便時だけ、進行すると歩いただけでも出るように
-
肛門の痛み・不快感
-
出血……脱出した腸の表面がこすれて出血することがあります
-
便もれ(便失禁)……気づかないうちに便がもれてしまう
-
便秘
-
粘液が出る・下着が汚れる
ご自身でうまく症状を伝えられない高齢の方の場合、ご家族や介護者の方が気づいて受診につながることも少なくありません。
なぜ直腸脱になるの?
直腸脱は、ひとつの原因ではなく、複数の要因が重なって起こります。
おもな背景には、骨盤の底を支える筋肉や、直腸を固定している組織のゆるみがあります。
-
加齢・出産による骨盤底筋のゆるみ(特に高齢女性)
-
慢性的な便秘で、いきむ習慣が続くこと
-
生まれつきの体の構造的な要素
など、さまざまな要因が関係しています。
どうやって診断するの?
直腸脱は、実際に脱出している様子を確認できれば診断は難しくありません。
ただし、診察台では腸が出てこないこともあります。その場合は、
-
座っていきんでもらう(座位での診察)
-
ご自宅で出ているときの写真を撮ってきてもらう
といった方法で確認します。「診察のときは出なかった」という場合でも、写真があると診断に役立ちます。
詳しく調べるための検査
必要に応じて、次のような検査を行うことがあります。
-
排便造影検査……いきんだときの腸の動きを撮影して確認する
-
大腸内視鏡検査……大腸がんなど、ほかの病気が隠れていないか確認する
-
肛門の筋肉の検査……肛門を締める力を調べる
女性では、子宮や膀胱が下がる病気(骨盤臓器脱)を併発していることもあるため、あわせて確認することがあります。
直腸脱の治療法
直腸脱は、基本的に手術が必要な病気です。一度脱出するようになると、自然に治ることはほとんどありません。
手術は、大きく2つのアプローチに分かれます。
肛門側から行う、体への負担が比較的少ない手術です。全身麻酔が難しい高齢の方や、持病のある方に向いています。代表的な方法に、脱出した粘膜を処理する方法などがあります。
おなか側から直腸を引き上げて、正しい位置に固定する手術です。近年は腹腔鏡(おなかに小さな穴を開けて行う方法)が主流で、傷が小さく、回復が早いのが利点です。比較的お元気な方に向いています。
どの手術を選ぶかは、年齢・体力・持病の有無・脱出の程度などを総合的にみて、一人ひとりに合わせて決めていきます。「手術が必要」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、ご本人の状態に合わせて、できるだけ負担の少ない方法を選びます。
- 直腸脱は、直腸が肛門の外に飛び出してくる病気です
- 高齢の女性に特に多く見られます
- 腸の脱出のほか、痛み・出血・便もれ・便秘などの症状が出ます
- 加齢や出産による骨盤底筋のゆるみ、慢性的な便秘が関係します
- いぼ痔(脱肛)と似ていますが、別の病気です
- 基本的に手術が必要で、体の状態に合わせて方法を選びます
日本大腸肛門病学会(編):肛門疾患・直腸脱(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2020年版 改訂第2版.南江堂,2020.
お気軽にご相談ください
北区赤羽・十条・浮間舟渡周辺にお住まいで、直腸脱やお尻の症状でお困りの方は、お一人で悩まず赤羽胃腸肛門クリニックにご相談ください。「お尻から何か出てくる」という症状は、放置すると悪化することがあります。お早めの受診をおすすめします。
