痔核(いぼ痔)とは?
症状・原因・治療法を赤羽の肛門専門医が解説
監修:赤羽胃腸肛門クリニック 院長 葛岡 健太郎
痔核(いぼ痔)とは?
肛門の内側には「肛門クッション」と呼ばれる柔らかい組織があります。細かい血管や結合組織(体の組織をつなぎとめる成分)でできており、肛門をしなやかに閉じて便が漏れないよう保つ大切な役割を担っています。
この肛門クッションが、さまざまな原因によって腫れたり・ずれ落ちたりした状態が「痔核(いぼ痔)」です。
発生する場所によって、次の2種類に分けられます。
急に血の塊(血栓)ができて外痔核が大きく腫れた状態を「血栓性外痔核」といい、突然の強い痛みが特徴です。また、脱出した内痔核が肛門の括約筋に締め付けられて元に戻らなくなる状態を「嵌頓(かんとん)痔核」といいます。いずれも早めに受診してください。
どのくらいの人がなるの?
痔核は肛門の病気の中で最もよくみられる疾患で、自覚症状がある方だけで全体の約4〜13%と報告されています。症状がなく気づいていない方まで含めると、さらに多くの方が痔核を持っているとされています。
男女の差はほとんどなく、特に45〜65歳の年齢層に多くみられます。妊娠・出産をきっかけに発症する女性も少なくありません。恥ずかしいと思いがちですが、とても身近な病気のひとつです。
なりやすい人・原因は?
痔核は生活習慣と深く関わっている疾患です。以下のような方は注意が必要です。
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便秘がちな方
強くいきむことで肛門クッションに繰り返し圧力がかかります -
長時間の座り仕事・車の運転をする方
座りっぱなしの状態は肛門周辺の血液の流れを滞らせます -
重いものを持つ仕事の方
腹圧がかかるたびに肛門に強い圧力が生じます -
食物繊維が少ない食事の方
便が硬くなり、排便のたびに負担が増えます -
妊娠中・出産後の方
子宮による圧迫やホルモン変化が肛門クッションに影響します -
慢性的な下痢が続く方
繰り返す下痢の刺激がクッション組織を傷めます
また、肛門の締まりを調節する「肛門括約筋(こうもんかつやくきん)」が過度に緊張していると、排便のたびにクッション組織が圧迫されて充血しやすくなることも、痔核の悪化に関係すると考えられています。
どんな症状が出るの?
出血
排便時にトイレットペーパーや便器に鮮やかな赤い血がつくのが典型的な症状です。ほとばしるような出血から、少量が付着する程度までさまざまです。通常は便と血が混ざらず、分離しているのが特徴です。
痛み
血栓性外痔核のときに突然の強い持続的な痛みが生じます。発症から数日は痛みが強いですが、少しずつ軽くなることが多いです。慢性化すると鈍い痛みや不快感として感じることもあります。
脱出(脱肛)
排便時や重いものを持ったときに肛門から組織が出てくる状態です。軽いうちは自然に戻りますが、進行すると手で押し戻す必要が生じたり、常に出たままになることもあります。
かゆみ・粘液の漏れ
便や粘液が皮膚に触れることでかゆみが起きます。洗いすぎも皮膚へのダメージになるため、やさしいケアが大切です。
暗い赤色の出血・血が便の中に混じっている・出血が長期間続く・貧血がある——こういった症状がある場合は、大腸がん・直腸炎など別の疾患が原因の可能性があります。自己判断せず、早めに受診してください。
どうやって診断するの?
痔核の診断には「肛門鏡」という専用の器具を使った診察が基本です。肛門鏡を使うことで、内痔核・外痔核の両方を直接確認することができます。
出血の状態によっては、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で大腸の病気との見極めが必要な場合もあります。痔核に似た症状を持つ病気(直腸脱・直腸ポリープ・肛門がんなど)との区別も、正確な診断のうえで欠かせません。
- 痔核(いぼ痔)は肛門クッションの腫れ・ずれによって起こる、最も多い肛門疾患です
- 男女差はなく、45〜65歳に多くみられます
- 便秘・長時間の座り仕事・妊娠・出産などが主なリスク因子です
- 主な症状は出血・痛み・脱出・かゆみです
- 暗い血・便への混入・貧血・長期出血は大腸疾患の可能性があり、精密検査が必要です
- 診断には肛門鏡が基本。必要に応じて大腸カメラも行います
日本大腸肛門病学会(編):肛門疾患・直腸脱(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2020年版 改訂第2版.南江堂,2020.
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