いぼ痔(痔核)とは?

いぼ痔(痔核)は、肛門付近の血管が膨らんだり、肛門の粘膜の下の組織が緩んだりしてできる最も一般的な痔です。日本人の約4人に1人が経験するとも言われており、決して珍しい病気ではありません。
放置すると症状が進行して、日常生活に大きな支障を来すことがありますが、早期発見・早期治療により、多くの場合で改善が可能です。特に最近は治療方法も進歩していて、痛みの少ない日帰り手術など、患者様の負担を軽減する選択肢が増えています。些細な症状でも、北区赤羽にある赤羽胃腸肛門クリニックへお気軽にご相談ください。
こんな症状でお困りではありませんか?
- トイレットペーパーに鮮やかな赤色の出血が付着し、不安を感じている
- 座っている時に違和感があり、仕事や家事に集中できない
- 肛門から何かが出てきて、日常生活に支障を来たしている
- デリケートな部分のかゆみが気になる
- 排便時の痛みで、トイレに行くことが怖くなっている
- 下着が汚れやすく、外出時に不安を感じている
- 長時間のデスクワークで症状が悪化して、仕事に支障が出ている
- 便秘や下痢を繰り返し、症状の改善が見られない など
いぼ痔(痔核)の原因
いぼ痔(痔核)は、様々な生活習慣や身体的な要因が関係して発症します。主に以下のような原因が特に重要とされています。他、重い荷物を持つ仕事、アルコールの多飲、刺激物の多食、おしりを冷やすことなどが原因として挙げられます。
便秘や下痢による腹圧上昇
便秘時の強い力みや、下痢による頻繁な排便は肛門に負担をかけ、血管を膨らませる原因となります。特に便秘がちな方は要注意です。
長時間の座位姿勢
デスクワークなどで長時間座り続けることで、肛門周辺の血行が悪くなり、いぼ痔(痔核)の発症や悪化を招くことがあります。
不規則な生活習慣
不規則な食事時間や睡眠不足は、便通の乱れを引き起こして、結果としていぼ痔(痔核)の原因となる場合があります。
妊娠・出産による影響
妊娠中のホルモンバランスの変化や、出産時の負担により、いぼ痔(痔核)が発症しやすくなります。特に出産経験のある女性は注意が必要です。
加齢による組織の弾力低下
年齢と共に肛門周囲の組織が弾力を失い、いぼ痔(痔核)を発症しやすくなります。また、一度発症すると治りにくい傾向があります。
いぼ痔(痔核)の検査・診断
視診による状態確認
ベッドに横になり、おしりが見えるところまでお着物を下ろします。タオルを上からかけさせていただきます。お着物を脱ぐ必要はありません。
タオルを最小限めくり、肛門やその周囲の状態を目で確認する基本的な診察です。写真を撮影し、全ての診察が終わったのちに画像を供覧して説明をさせていただきます。いぼ痔(痔核)の大きさや位置、脱出の程度などを確認して、治療方針の決定に役立てます。デリケートな部位ですが、短時間で終わる基本的な検査です。
指診(触診)によるいぼ痔(痔核)の硬さチェック
ゴム手袋をし、潤滑ゼリーを塗った指で優しく触れて、痛みのある部位や腫れの状態を確認します。続いて指を肛門内に挿入して観察します。
指で優しく触れて、いぼ痔(痔核)の硬さや大きさ、痛みの程度を確認します。いぼ痔(痔核)の状態や進行度を判断する重要な検査です。痛みを感じる場合は、遠慮なくお申し出ください。
デジタル直腸鏡による詳細観察
カメラ付きの筒を肛門から挿入し、内部を観察する検査です。潤滑ゼリーを塗って検査を行うので痛みはほとんどありませんが、痛みを感じる場合は、遠慮なくお申し出ください。検査中はモニターで患部の状態を確認しながら、説明を受けられるため、よりわかりやすく理解も深まります。また、他の病気との鑑別診断にも重要な検査です。
いぼ痔(痔核)の治療
保存療法
軽症の場合は、以下の治療で改善が期待できます。
軟膏・座薬による治療
痛みや腫れ、出血などの症状を和らげる薬剤を使用します。症状に合わせて、消炎鎮痛剤などを組み合わせて処方いたします。
生活習慣の改善指導
長時間の座位や不規則な生活習慣は症状を悪化させる原因となります。患者様のライフスタイルに合わせて、具体的な改善方法をアドバイスいたします。
便通コントロール
便秘や下痢は症状を悪化させる大きな要因です。食事内容や水分摂取量の調整、排便習慣の改善など、具体的なアドバイスを行います。
日帰り手術による治療
症状が進行している場合は、以下の治療をご提案いたします。
パオスクレー注射
血管を固める特殊な薬剤を使用する治療方法です。主に出血の多いいぼ痔(痔核)に対して効果を発揮します。日帰りで受けられ、痛みも少ないため、日常生活への影響が少なくて済みます。
ALTA注射療法(ジオン注射療法)
専用の薬剤を直接痔核に注入することで、痔核を硬化縮小させる治療方法です。切開を伴わないため、手術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。ただし、痔核の状態によっては効果に差が生じる場合もあります。
ゴム輪結紮術
特殊なゴム輪を用いて小さないぼ痔(痔核)の血流を遮断する方法です。当クリニックでは合併症の可能性などを考慮した結果、現在では行っておりません。
結紮切除術
脱出したいぼ痔(痔核)を切除する根治的な手術です。確実な効果が見込める一方で、術後の疼痛管理や出血への注意が必要となります。
ALTA注射療法と結紮切除術の組み合わせ
複数のいぼ痔(痔核)がある場合、大きなものは切除し、小さなものには注射療法を行うという複合的な治療です。痔核の日帰り手術に活用しています。切除範囲を最小化しながらも高い治療効果を目指します。
PPH(procedure for prolapse and hemorrhoids)法
特殊な器具を使用して、痔核を支える直腸粘膜を環状に切除する手術です。従来の手術と比べて痛みが少ないというメリットがありますが、合併症のリスクから、当クリニックでは現時点では行っておりません。