胃カメラはつらい?苦しくない内視鏡検査の選び方
「胃カメラはつらい」「苦しいから避けたい」といった印象を持たれる方は少なくありません。実際、内視鏡検査には不安や抵抗感を伴うことがあり、それが検査の受診をためらう要因となっていることもあります。しかし現在では、検査の苦痛を軽減するさまざまな方法があり、ご自身に合った方法を選ぶことで、より安心して受けることが可能です。
胃カメラがつらいと感じる理由
胃カメラ(胃内視鏡検査)では、口または鼻からスコープ(カメラ)を挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を直接観察します。つらさを感じる主な要因は、スコープが喉に触れることで起こる咽頭反射(嘔吐反射)です。この反射が強い方では「オエッ」となりやすく、検査中の不快感や緊張につながります。
また、検査の際に胃を膨らませるために空気を注入することがあり、一時的にお腹が張ったような感覚が生じることもありますが、これも一時的なものです。
苦しくない胃カメラを選ぶための3つのポイント
1. 細径内視鏡(細い内視鏡を鼻または口から挿入)
細いスコープを鼻や口から挿入する方法で、咽頭反射が起こりにくいため、通常の内視鏡を口から挿入するよりも楽に受けられるとされています。口や鼻の違和感はありますが、全体として不快感が軽減されやすい方法です。鼻からの方がより刺激は少ないですが、一方でスコープが鼻腔の壁に接触するため鼻出血(鼻血)が起こりえます。
2. 鎮静剤(静脈麻酔)の併用
点滴等で鎮静剤を投与することで、ほとんど眠ったような状態で検査を受けることができます。不安が強い方や過去に苦しい経験のある方にも適しています。鎮静剤の効果を確認した後に通常の太さの内視鏡による検査を行います。鎮静剤を使用した場合は、検査後に一定時間の安静が必要であり、当日は車の運転ができません。当院で最も多く行っている方法です。
3. 医療機関の環境・配慮
検査前の丁寧な説明や、スタッフのサポートによって不安を軽減できる環境は、安心感に直結します。リラックスした状態で検査を受けることにより、体の緊張もほぐれ、結果的に苦痛も少なくなります。
各検査法の比較
項目\内視鏡 | 通常径 (鎮静剤なし) |
細径 (鎮静剤なし) |
細径 (鎮静剤なし) |
通常径 (鎮静剤あり) |
---|---|---|---|---|
挿入経路 | 口 | 鼻 | 口 | 口 |
スコープの太さ | 約8~10mm | 約5~6mm | 約5~6mm | 約8~10mm |
嘔吐反射の程度 | 強い | 弱い | 弱い | ほぼなし |
会話の可否 | 不可 | 可能 | 不可 | 不可 |
検査後の運転 | 可能 | 可能 | 可能 | 不可 |
精密観察・治療対応 | 可能 | 一部制限あり | 一部制限あり | 可能 |
備考 | なし | 鼻出血が起こりうる | 一部 | |
当院での件数 | ほぼなし | ほとんどなし | 少 | 最多 |
検査方法の選び方の目安
- 「とにかく楽に受けたい」 → 鎮静剤ありの経口内視鏡
- 「鎮静剤は避けたいが楽に受けたい」 → 鎮静剤なしの細径内視鏡
- 「検査後すぐに運転や仕事がある」 → 鎮静剤なしの細径内視鏡
当院での対応
当院では、できるだけ楽に検査を受けていただきたという理由から、基本的に鎮静剤を使用した胃カメラを行っています。その上で、患者さまの状態やご希望に応じて、経鼻・経口・鎮静剤の使用など複数の検査方法から最適な選択肢をご提案しています。また、検査前後のご説明やサポートにも力を入れており、安心して受けていただける体制を整えています。
まとめ
胃カメラは、つらい検査と思われがちですが、検査法の選び方や医療機関の体制によって、負担を大きく軽減することが可能です。不安がある場合は、遠慮なくご相談いただき、ご自身に合った方法で受診されることをおすすめします。早期発見・早期治療のためにも、適切なタイミングでの検査が重要です。