あな痔(痔ろう)とは?

あな痔(痔ろう)は、肛門の内側から外側へ向かってトンネル(瘻管)ができる病気です。このトンネルは単純なものから複雑なものまで様々な形があり、まっすぐなトンネルもあれば、馬蹄型のように肛門のまわりを回り込むような複雑な形のものもあります。
このトンネルを通って膿が外に出てくるため、下着が汚れたり、痛みを感じたりします。また、トンネルの出口が一時的に閉じると、中に膿がたまって腫れや痛みが強くなることがあります。
一般的な痔とは異なり、若い方にも多く見られる病気です。また、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)と関連している場合もあり、早期の発見と治療が大切です。
北区赤羽にある赤羽胃腸肛門クリニックでは、肛門エコーを使用した正確な診断と、患者様の状態に合わせた適切な治療を提供しています。些細な症状でもお気軽にご相談ください。
こんな症状でお困りではありませんか?
- 肛門のまわりが腫れて痛みがある
- おしりから膿が出て下着が汚れやすい
- 座っている時に痛みを感じる
- 肛門周囲の違和感や不快感が続いている
- 発熱を繰り返すことがある
- 肛門周囲の硬いしこりが気になる
- 若い頃から肛門のトラブルを繰り返している など
あな痔(痔ろう)の原因
あな痔(痔ろう)は、以下のような要因で発症することが多い病気です。早期発見・早期治療が重要ですので、気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
肛門腺の感染
肛門管内にある肛門腺に細菌が感染することで炎症が起こり、膿瘍を形成します。その後、肛門周囲に瘻管(トンネル)ができ、あな痔(痔ろう)となります。
炎症性腸疾患の合併
若い方の場合、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患が原因となることがあります。このような場合は、より詳しい検査と専門的な治療が必要です。
免疫力の低下
過労やストレスによる免疫力の低下は、感染のリスクを高めます。また、糖尿病などの基礎疾患がある方も発症しやすい傾向にあります。
不適切な処置
肛門周囲の膿瘍を適切に治療せずに放置すると、全身に菌が拡がり重症化したり、あな痔(痔ろう)の走行が枝分かれし複雑化することがあります。早めの適切な処置が重要です。
あな痔(痔ろう)での検査・診断
あな痔(痔ろう)は、複雑な形状をしている場合もあり、正確な診断が重要です。診断の基本は肛門部の視診と触診になります。当クリニックではそれに加え、肛門エコーやMRI検査を組み合わせることで、より確実な診断と適切な治療方針の決定を行っています。
肛門エコー検査
当クリニックでは肛門専用のエコープローブを使用して、あな痔(痔ろう)の詳しい診断を行っています。この検査には以下のような利点があります。
- トンネル(瘻管)の形や深さを正確に把握
- 膿がたまっている場所を特定
- 処置時の正確な位置確認が可能
- 他の病気との区別が可能
- 病期(炎症がくすぶっている段階か、落ち着いている段階か)の区別が可能 など
内視鏡検査(大腸カメラ検査)
必要に応じて大腸カメラ検査も行います。これは特に若い方のあな痔(痔ろう)では重要で、炎症性腸疾患との関連を調べるために有用です。
あな痔(痔ろう)の治療
当クリニックでは、患者様の状態に応じて以下のような治療を行っています。
日帰り手術
肛門後方にある場合は、瘻管を切開し、開放する手術を行うことが多いです。確実に治る可能性が高い方法です。
肛門側方や前方に痔瘻がある場合は大きく切開すると術後の変形を来たし、肛門機能が損なわれることがあるため、瘻管をくり抜く、切った括約筋を縫合する、輪ゴムを通すといった方法で治療します。いずれも日帰り手術が可能です。
入院手術
深い位置にある場合や複数箇所ある場合は、提携する寺田病院または他院での入院手術をご案内します。院長が執刀することも可能で、手術後は当クリニックでフォローアップを行います。
あな痔(痔ろう)と炎症性腸疾患
あな痔(痔ろう)は、特に若い方の場合、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)と深い関連があることがわかっています。
20代以下の方があな痔(痔ろう)を発症した場合、その半数程度がのちにクローン病と診断される可能性があると言われています。当クリニックでは、このような統計を踏まえて、若い方のあな痔(痔ろう)には特に慎重な診断を心がけています。
「一般的なあな痔」と「炎症性腸疾患によるあな痔」の違い
あな痔(痔ろう)には、一般的な細菌感染によるものと、炎症性腸疾患が原因のものがあります。炎症性腸疾患が原因の場合、肛門周囲に複数のトンネル(瘻管)ができやすく、その形も複雑になりがちです。
また一般的なあな痔(痔ろう)は適切な治療で改善が期待できますが、炎症性腸疾患が背景にある場合は、通常の治療だけでは改善しにくく、症状を繰り返すことが特徴です。
早期発見の重要性
特に若い方のあな痔(痔ろう)は要注意です。実際に20代以下の方のあな痔(痔ろう)では、約半数が後にクローン病と診断されるというデータもあります。そのため当クリニックでは、あな痔と診断された若い患者様に対して、詳しい問診を行い、必要に応じて大腸カメラ検査をご提案しています。
また定期的な経過観察を行うことで、炎症性腸疾患の早期発見に努めています。早期に発見できれば、より適切な治療が可能になり、症状の進行を抑えることができます。
治療方針の違い
炎症性腸疾患が見つかった場合、治療方針は変わり、まず腸の炎症をコントロールすることが重要で、そのために薬物療法を中心とした治療を行います。手術が必要な場合でも、腸の炎症が落ち着いているタイミングを慎重に選んで実施します。
また炎症性腸疾患は長期的な管理が必要な病気のため、治療計画も長期的な視点で立てていく必要があります。当クリニックでは、患者様の状態や生活環境を考慮しながら、最適な治療方針をご提案しています。