切れ痔(裂肛)とは?

切れ痔(裂肛)は、肛門上皮に裂け目ができる病気です。「トイレが怖い」「座るのもつらい」など、排便時の鋭い痛みによって日常生活に支障を来すことも少なくありません。特に便秘がちの方は、硬い便による痛みで排便を我慢してしまい、さらに便秘が悪化するという悪循環に陥りやすい病気です。
当クリニックでは、このような痛みでお悩みの患者様に、できるだけ負担の少ない治療を提案しています。多くの場合、適切な薬物療法と生活習慣の改善で症状は改善可能です。また慢性化している場合でも、日帰りでの手術により、多くの方が痛みから解放されて快適な生活を取り戻されています。切れ痔でお悩みの方は、症状が軽いうちに、北区赤羽にある赤羽胃腸肛門クリニックへご相談ください。キ
こんな症状でお困りではありませんか?
- 排便時に鋭い痛みがあり、トイレに行くことが怖い
- 便が細くなり、排便に時間がかかるようになった
- 排便後も痛みが続き、座っていられない
- トイレットペーパーに出血がある
- 便秘がちで、硬い便で痛みを感じる
- 痛みのために仕事や家事に集中できない
- 慢性的な痛みでQOL(生活の質)が低下している
- お風呂での温めで一時的に楽になる など
切れ痔(裂肛)の進行について
切れ痔は、適切な治療をせずに放置すると以下のような悪循環に陥ることがあります。
初期の段階
- 痛み → 排便を我慢 → 便秘 → さらに痛み
進行した段階
- 慢性的な痛み → 肛門の緊張 → 血行不良 → 治りにくい状態に
重症化した場合
- 肛門狭窄 → さらなる痛み → 生活への大きな支障
切れ痔(裂肛)の原因
切れ痔(裂肛)には、様々な生活習慣が関係しています。以下のような原因が特に重要です。
便秘による影響
硬い便が肛門を通過する際に、無理な力みと共に肛門上皮を傷つけてしまいます。特に長期の便秘で便が硬くなっている場合は要注意です。
不適切な肛門ケア
強い拭き取りや不適切な洗浄により、デリケートな肛門上皮が傷つくことがあります。また清潔を保てていないと、傷の治りも遅くなります。
過度の緊張
精神的なストレスや長時間のデスクワークで肛門が緊張すると、血行不良を起こして傷が治りにくくなります。
下痢の繰り返し
頻繁な排便で肛門上皮への刺激が増え、傷つきやすい状態になります。また便の酸性度が高いと炎症を起こしやすくなります。
切れ痔(裂肛)の検査・診断
視診による確認
切れ痔の位置や大きさ、深さ、見張りいぼ(皮垂)の有無を観察します。痛みに配慮しながら、慎重に検査を行います。
デジタル直腸鏡による観察
患者様がモニター画面で状態を確認できる検査です。医師による説明もよりわかりやすくなります。
切れ痔(裂肛)の治療
切れ痔(裂肛)の治療は、症状の程度や慢性化の状態によって選択します。多くの場合、以下のような段階的な治療を行います。
保存療法
軟膏・座薬による治療
痛みや炎症を抑える内服薬や坐剤を使用します。ほとんどの場合、薬で良くなります。
便通のコントロール
便を柔らかくする薬の使用や食事指導を行います。便秘予防のための具体的な食事内容や水分摂取量、適度な運動方法などについても、患者様のライフスタイルに合わせてアドバイスいたします。
温浴療法
血行を改善して、自然治癒力を高めます。入浴の回数や洗い方など、ご自宅でできる効果的なケア方法をご指導いたします。また、シャワーでの洗浄方法についても丁寧にお伝えします。
生活習慣の改善
適切な肛門ケアの方法をアドバイスします。トイレットペーパーの使い方や、清潔を保つコツ、長時間の座位を避けるための工夫など、患者様の職業や生活環境に合わせた具体的なアドバイスを行います。
日帰り手術による治療
保存療法で改善が見られない場合や、慢性化している場合は手術をご提案することがあります。
側方内括約筋切開術(LSIS)
裂肛の原因とされる肛門括約筋の過度の緊張を取るために、内括約筋の一部を切離して緊張を解除する手術です。肛門ポリープや皮垂などがあれば、同時に切除します。局所麻酔と静脈麻酔で行いますので、日帰りで治療が可能です。術後の痛みも比較的少なく、早期の回復が期待できます。
肛門ポリープ切除
切れ痔(裂肛)に伴って発生したポリープを切除します。これにより症状の改善が期待できます。
肛門狭窄形成術
慢性化した切れ痔(裂肛)の結果、肛門狭窄をきたした場合に対する手術です。括約筋の一部を切開し狭窄を解除し、裂肛の結果形成された肛門潰瘍や肛門ポリープなどを同時に切除します。このあと、切開した括約筋部分をSliding Skin Graft(皮膚弁移動術)で形成・カバーする方法を行います。
局所麻酔と静脈麻酔を組み合わせて行い、日帰りでの手術が可能です。
手術後は生活習慣の改善と組み合わせることで、より確実な治療効果が期待できるようになります。
肛門ポリープについて
肛門ポリープは、肛門の内側にできる良性の隆起性病変です。主に切れ痔(裂肛)を繰り返すことで発生し、「排便時に何かが引っかかる感じがする」「トイレットペーパーが汚れやすい」といった症状の原因となります。
大腸ポリープとは異なり、がん化することはありませんが、その存在自体が切れ痔(裂肛)の治りを妨げる要因となることがあります。
肛門ポリープの原因
主に切れ痔(裂肛)の慢性化により発生します。傷が治りきらないうちに繰り返し刺激を受けることで、肛門の内側に隆起した組織ができます。また、慢性的な便秘や下痢による刺激、不適切な肛門ケアなども原因となることがあります。
肛門ポリープの検査・診断
視診と指診(触診)による診察に加えて、デジタル直腸鏡による観察を行います。モニター画面で状態を確認しながら、ポリープの大きさや位置、性状を詳しく診断します。また、切れ痔(裂肛)の状態も合わせて確認します。
肛門ポリープの治療
単独のポリープは、局所麻酔による日帰り手術で切除が可能です。ただし、切れ痔(裂肛)を合併している場合は、両方の治療を同時に行うことで、より確実な治癒が期待できます。
肛門狭窄について
肛門狭窄は、肛門が狭くなって硬くなった状態です。主に切れ痔(裂肛)が慢性化することで発生し、「便が細くなった」「排便に時間がかかる」「便が出しづらい」といった症状が特徴です。適切な治療を行わないと症状が進行して、さらなる切れ痔(裂肛)の原因となる可能性があります。
肛門狭窄の原因
切れ痔(裂肛)を繰り返すことで、肛門の組織が硬くなり、徐々に狭くなっていきます。また、過去の手術や炎症性腸疾患なども原因となることがあります。特に便秘がちの方は、硬い便による刺激で症状が悪化しやすい傾向にあります。
肛門狭窄の検査・診断
指診(触診)により肛門の緊張度や硬さを確認し、同時に狭窄の程度を診断します。また必要に応じて肛門エコーも行い、より詳細に状態を確認します。
肛門狭窄の治療
まずは便通のコントロールと温浴療法を中心とした保存的治療を行います。症状が改善しない場合は、狭窄の程度に応じて手術治療をご提案することがあります。手術は主に日帰りで行い、肛門の緊張を和らげることで、自然な排便を目指します。
肛門皮垂(スキンタグ)について
肛門皮垂(スキンタグ)は、肛門のまわりにできる皮膚のひだや突起物です。主に痔の治療後や出産後に残ることが多く、「何か出ている感じがする」「清潔を保ちにくい」といった症状の原因となることがあります。
多くの場合は症状がなく治療の必要はありませんが、違和感やケアの妨げになる場合は、日帰り手術での切除も可能です。
肛門皮垂(スキンタグ)の原因
主にいぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)の治癒過程で発生します。炎症や腫れが治まった後に、余分な皮膚として残ることがあります。また、出産時の負担や加齢による皮膚の弾力低下なども原因となります。
肛門皮垂(スキンタグ)の検査・診断
視診による観察を中心に、デジタル直腸鏡での詳しい確認も行います。大きさや位置、数を確認すると共に、他の肛門疾患との関連も診断します。また、切除が必要かどうかの判断材料とします。
肛門皮垂(スキンタグ)の治療
症状がない場合は経過観察で問題ありません。ただし、日常生活で不快感がある場合や、清潔保持が難しい場合は、局所麻酔による日帰り手術で切除することが可能です。手術は短時間で終わり、術後の痛みも比較的少ないのが特徴です。